講師の杉本です。
銀座教室の松岡会員様の油絵をご紹介します。
このモチーフは、ドイツの彫刻家クリスチャン・ダニエル・ラウホ(1777~1857)の作品、『勝利の女神』です。
東京のアーティゾン美術館にて常設展示されています。
松岡会員様は以前よりこの作品に関心を寄せており、今回は自ら撮影した画像を参考資料として制作に臨まれました。
暗闇に浮かび上がる、大理石のヴィクトリア(ローマ神話で「勝利」を司る女神)。
その手には、勝利者へと投げ渡される月桂冠が握られています。
この作品では、モチーフをしっかりと観察して描くと同時に、神秘的に演出する事が出来ています。グレーズ技法(薄く溶いた色彩を何層も重ねる手法)で暗色に深みを出すとともに、彫像のフォルムや質感、そして差し込む「光」を明色の絵の具で描きこんでいく。
こうした工夫により、シンプルな構図の中で対象の立体的な存在感を引き出す事が出来ています。
制作中の松岡会員様
この作品は、松岡会員様が水彩画から油彩画へと移行して最初の作品です。
顔の表情の印象合わせなどの細部では、最後まで苦心を重ねました。
「粘りが強く練りが固い」油絵具の性質を使いこなして、沢山の制作にトライして頂きたいと思います。次回作も期待しております。