こんにちは。メッツ絵画教室新宿校で火曜、土曜を担当している講師の山田です。
今回は、中高生コースに在籍されているT会員様の鉛筆デッサンをご紹介いたします。

今回のモチーフはオウム貝です。表面は陶器のように滑らかで光を反射する質感を持ち、さらに内部は空洞状の構造、外側には特徴的な模様が走る、非常に観察力が問われるモチーフです。
まず素晴らしいのは形の把握です。オウム貝特有の巻き込みの構造や空洞の中に奥行きが感じられ、立体としてしっかり成立しています。描き方によっては浮いてしまう模様も、“形の一部”として捉え、平面的な線ではなく、立体の起伏に沿って色や形を変化させながら描くことで、自然で説得力のある描写になっています。
質感についても、表面のツルツルとした光沢感を出すために、指やティッシュでぼかしを取り入れた工夫が効果的です。空洞内部の影の描写も美しく、単に暗くするのではなく、柔らかいグラデーションで奥行きや丸みを表現できていて見応えがあります。
さらに、白いモチーフであってもスカスカに見えないよう、H系の硬めの鉛筆を用いて明るいグレーの幅を丁寧に作っている点も重要です。白=塗らない、ではなく、繊細なトーンの積み重ねによって“白さ”を描くことで、オウム貝が持つ色調の美しさと存在感をしっかりと表現できています。
T会員さまは、中学生とは思えない観察眼と描写力で、モチーフの複雑な要素をひとつひとつ乗り越え、最終的には非常に完成度の高いデッサンを仕上げることができました。

新しいモチーフで鉛筆デッサンを制作中のT会員さまです。
次回作も楽しみにしております。

