こんにちは。水曜日、土曜日を担当しています講師の越前谷です。
今回は山ノ井会員さまの油彩画をご紹介します。
これは山ノ井会員さまがネパールで実際に見た、糸を使った眉毛の手入れの情景を、作品にしたものです。
この様に作品のテーマも面白く、山ノ井会員さまはとても描写力もある方なので、順調に制作が進んでいる様でしたが、完成までに半年以上の時間がかかりました。
これは主題のイメージを一通り丁寧に描写するだけでなく、絵画の画面の強さ、ということを意識していたからだと思います。
一般的に強い画面というと、絵の具を厚塗りして盛り上げたり、絵の具に混ぜ物をしてマティエールを作ったり、物理的な表現の強さが先ず考えられます。
実際に山ノ井会員さまも、ナイフを使って絵の具を乗せていくことも取り入れています。
また、画面の強さ、というときには、この様な物理的な強さだけでなく、色彩やコントラストの強さ、あるいは画面構成の強さ、また、イメージの強さ、描写力の強さも考えられます。
レオナルド・ダ・ヴィンチの作品を見ると、絵の具が厚塗りな訳ではありませんが、深い描写の積み重ねに画面の強さを感じます。
また、ヴァン・ゴッホの作品を見ると、絵の具の厚みだけでなく、筆のタッチ、色彩の強さ、また、デフォルメされたイメージ、隈取りの表現等にも強さが感じられます。
絵画の画面の強さ、ということを考えると、簡単な問題ではなく、絵画表現の全体について考えざるを得ないので、かなり専門的な意識の持ち方になって来ます。
それだけ、山ノ井会員さまは絵画の研究に熱心な方だと思います。今後の作品にも注目したいですね。
制作する山ノ井会員さま