会員の皆様こんにちは。講師の杉本です。
今回は、山縣会員様のデッサンをご紹介します。
エジプトに伝わる猫の神像(バステト神)と、ガラス玉の入った杯を組み合わせた静物です(両モチーフとも教室所蔵)。モチーフの形態と質感がしっかりと観察されています。
黒色の猫については、すらりとした印象を写し取りつつフォルムの起伏を丁寧に捉えています。特に、前脚と後脚の間にある空間の前後感を、立体的に表すことが出来ています。
暗色のモチーフであっても、トーン描写の使い分けによって形態のボリューム感が再現されています。
ガラス玉と杯のモチーフでは、映り込みの色合いや光の反射を克明に描いています。
また、地面の影については、自然なグラデーションを付ける事が出来ています。
これによって二つのモチーフの安定感が高まり、画面空間に奥行きをもたらしています。
今後に向けては、猫の頭部(特に眼の周り)や積み重なるガラス玉の重量感といった、更なる細部の描写を追究して頂きたいと考えています。
山縣会員様は、デッサンを継続して制作されています。
モチーフを実見しての素描、及びモノクローム写真作品の模写の両方を通じて、鉛筆の表現技術を磨かれています。
次回作も期待しております。