メッツ絵画教室新宿会員様の作品集



メッツ絵画教室の新宿教室で木曜日と土曜日を担当する講師の阿部です。
この原稿が掲載される頃には緊急事態宣言も解除される頃かと思います。それはともかくとしても最近は春の訪れを感じさせる気候ですね。陽気に惹かれてふらっと外出することもしばしばです。外出先でお店に立ち寄る習慣がなくなってしまったのは悲しいですが、、、
こんな時だからこそ身の周りのものに目を向けて豊かに時間を過ごしたいです。さて、今回は新宿校会員様の作品を多数紹介します。昨年は新型コロナウィルスの関係から楽々展を開催することができませんでしたので、出来るだけ沢山の作品を紹介したく思います。
 
 

 
増田美栄子会員様作品です。
増田さんの水彩は筆運びやタッチがゆったりとしていて、絵と現実とのギャップを溶かしていくような柔らかさを感じます。本人は適当にやってる、なんて笑いながら話されていますが、そのおおらかさが作品に表れている様に思います。
水彩で制作をしている増田さんの近作は、ご自宅や周辺のものからモチーフを選んで制作されています。近所に咲く花やご自宅の風景などです。お話しているとまだまだモチーフになるものが沢山ありそうなので、どんなものを描かれるのか楽しみです。
 
 

 
阿部航会員様作品です。
この度油彩一作目です!寒暖の配色がうまくはまった、優しい作品に仕上がっています。遠景のキンとした冷たい空気に近景の暖かな家並みが構成されています。初めてということもあり油彩でできることを試しながら制作を進めていました。絵具を塗り重ねながら、少しづつ色合いや形が立ち上がってくる油彩らしい部分を体験できたんじゃないかと思います。
鉛筆で制作していた時とは違う扱いづらさも感じたかもしれませんが、表現の幅は格段に広がっています。一足飛びに描けない画材ではありますが、絵具を塗り重ねて作る重厚さは他の追随を許さないものです。描いてみたいモチーフをどの様な工程で料理していこうかと、考えを巡らせていくと楽しい画材ですよ。次はハードな世界観の作品に挑戦する予定!
 
 

 
原田卓也会員様の作品です。
原田さんは今回が一作目の水彩画になります。とても鮮やかな色彩の作品になりました。長くデッサンを続けられた描写力もしっかりと表れています。鉛筆に比べ、水彩は勝手に滲むし、筆は思った様に動かなかったかもしれませんが、絵具の鮮やかなノリ具合やフォルムのおおらかな掴みっぷりは鉛筆で難しい表現だったのではないでしょうか。
みずみずしい花びらと葉っぱの描写は水彩ならではといったところです。最後にバスケットのところ!苦戦されていましたが、違和感のない状態まで持っていきましたね!苦戦した時こそ描く力は磨かれます。
 
 

 
中山恵太会員様の作品です。
この度油彩二枚目の作品は写真集から引用して制作をしました。が、しかし、モチーフとした写真作品とも少し違う独特の風合いを持った作品に仕上がったと思います。構図どりは写真を引用しつつもしっくりくる状態になるまで少しづつ修正しながら進行しました。
写真の風合いに近づけるために何度も絵の具を塗り重ねていったのが功を奏し、この様な画面が表れてきたと思います。なかなか似て来ないなぁと感じたこともあるでしょうが、近づけようと筆を動かし続けたことがこの作品を良きものにしたと思います。
 
 

 

 
中村慶乃会員様のデッサンです。
中村さんは昨年入会されたのですが、観察や気づきをスポンジの様に吸収して、上達していく姿が見て取れます。いちごとぶどうパンのデッサンですが、このモチーフは物が持つ固有色やおうとつ、なだらかな形など癖が強く、それに光と陰の要素が合わさるのでシンプルな様で複雑です。これを見たまま描こうとしつつも、似せるためにはよく見比べて描く必要があります。
中村さんはいちごの赤い色彩とパンの少しくすんだ様な色合いを鉛筆の濃さとして、置き直すことができています。フォルムに関しても、観念的にならずにでこぼこや形のカーブを観察して絵に取り込んでいけています。観察して見つけた要素を絵に描き入れた時に、よりそれらしく感じられた時は嬉しかっただろうなと感じさせるデッサンです。新鮮な喜びを胸に刻んでこれからも制作を続けてください。
 
 

 

 
大滝美恵子会員様の作品です。
以前に水彩作品として下の作品を制作したのですが、モチーフを気に入り、やや俯瞰した構成に置き直し油彩作品に起こしました。
大滝さんの制作姿勢は見ていて気持ちがよく、絵具をドンドンのせていきます。絵具をパレットに絞り、一呼吸おいたかなというところで気づくと絵が進んでいます。描き出しは比較的筆が進みやすいと思うのですが、ある程度出来上がってくると絵が壊れるのを恐れて、問題が見つかっても消極的になりがちだったりします。
大滝さんの場合、こうしようかな?と思ったらすぐ絵に反映させていくスタイルは私も見習わなければと思っています。この二枚の連作は一つ一つのモチーフを描きつつも大きなフォルムを作っていく様に制作されました。パッと観た瞬間の形と色の印象が鮮烈です。
 
以上、六名の作品を紹介しました。これからも出来るだけ多くの作品を紹介できればと思います。
 
教室では絵を完成するまでのお付き合いになってしまいますが、完成した後、飾ったりなどして生活に溶け込ませていくことで絵が育っていく様にも感じられます。壁にテープで貼り付けてみたり、食卓に立て掛けて観たり、ルールはないかと思います。この時期になったらあの作品に差し替える、、、でも良いですし。絵がある生活を作ってみてください!