デッサンコース

デッサンは絵画を描く上での基本中の基本です。描く対象である3次元の世界をキャンバスや紙を使用した2次元の画面に描き表現します。描く対象をいかに画面上に正確に描き表すか、それはデッサンをすることにより習得できる技術です。

デッサンでは初めに描く対象を画面のどの位置に配置するか、から始まり、形、質感、描く対象にどのように光が当たり影が出来ているか等をじっくりと観察し捉え描き始めます。描く対象が複数の場合、それぞれの物の距離、すなわち空間を意識し描き表し、2次元の画面上のに3次元の空間を表現する様にします。こうしてデッサンを何度も行うことで物の形、立体感、質感や空間の表現を表す基礎を習得します。

デッサン画材

教室での基本デッサン画材は写真にあるものになります。スケッチブック、スケッチ用鉛筆、カッターナイフ、消しゴム、練消しゴム、羽箒(これは無くても構いません)、画材収納バックで一式です。スケッチ鉛筆を始めて、上達するにつれご自身が必要と思われる画材を追加していきます。

デッサン(鉛筆)の描き方


まずは形をしっかり捉え輪郭を描く

描くモチーフ(対象)をしっかり観察し、その形を捉え鉛筆で大まかな輪郭線を描いていきます。大まかな外郭線をとって後、更に正確な形を描き出す為、練ゴムを使用して出来るだけ正確な形になるまで外郭線を修正しながら形を整えていきます。描く大きさはここの場合モチーフの等寸大よりやや大きめにします。


調子を付けていく

鉛筆を寝かせて鉛筆の腹で塗っていきます。丸い形なのでリンゴをなでるように形の軌跡を残しながら描きます。上からの光を意識して上部下部での調子の濃さを変えると立体感が出ます。落ちている影も鉛筆を水平に動かしうっすら描きます。


鉛筆の濃さを変え立体感を付ける

濃い部分、明るい部分とその状態にあった濃さの鉛筆を使用し、明暗の境の稜線のコントラスを付けていきます。ここでも形をなでるように鉛筆でタッチを入れます。


鉛筆を立て気味にして描きこんでいく

薄い部分には芯の固い色の薄い鉛筆を使い、濃い部分は芯の柔らかな色の濃い鉛筆を使って微妙な濃さ凹凸を描きます。明るいくらいの変わり目の稜線を濃くし、立体感を強く出します。濃い部分にも芯の固い色の薄い鉛筆を使用して塗り重ねると、硬さや抵抗感が出てきます。落ちている影の形も平台の上なので、直線でリンゴと平台の接点は濃く離れていくほど薄く描きます。


光沢や色のつながりをよりよく細密に描き、赤い濃さと艶のあるリンゴに仕上げます。芯の部分も丸い形、芯の奥は暗いのでしっかりとトーンを付けます。落ちている影も接点はさらにしっかり濃く描き、反射光と区別します。影の輪郭も平台との境が不自然さを感じさせないようここでも芯の固い薄い色の鉛筆を使用して影に重ね塗りし、自然な感じを描き表します。カリキュラムで行う基本デッサン初心者の方にまず描いて頂くのはデッサンです。ステップ1~8迄をカリキュラムに沿って制作していただいています。現在教室で制作されている永田会員さまの初めて描かれたリンゴから石膏像までのデッサン作品をご紹介します。

会員様の基礎デッサン制作例

1点目の作品 リンゴ

球体の立体感を輪郭線に頼らず描く事が重要となります。リンゴの質感や光の当たり具合、反射光などよく観察して描いています。

2点目の作品 円柱

円柱が歪まないように底辺の円と円の中心をしっかり捉えて左右対称に立ち上げ、上部の円を描き表しましょう。光と影がしっかりと感じ取れるモチーフです。よく観察して描いてあります。

3点目の作品 トマトとレモン

3点目にもなるとスケッチ用鉛筆の使用にも慣れてきます。個々では対象が2点となり、空間を意識して描きます。トマトの質感、レモンの質感と色の違いが鉛筆の使い方で対比を上手に出せており、二つの空間がしっかりと描かれています。

4点目の作品 イチゴとパン

イチゴとパンの質感を上手に表しています。パンの存在感と2個のイチゴとの空間も、しっかりと描き表しています。3点目のデッサンよりも、練ゴムの使い方がとても効果的で上手になっています。

5点目の作品 ワイン瓶

4点目までは2点目の石膏円柱以外は全て柔らかい質感の物をデッサンしてきました。今回は透明感のあるワイン瓶です。2回目に描いた石膏円柱の形の応用で、新たにガラスの透明感や固い、冷たいという質感の表現を表す事が重要な描き表す要素となります。光、輪郭、ラベルの表現、コルク栓など描く難度の高いものを上手に描き表しています。

6点目の作品 ヤシの実と花と布

ここからは描く難度がさらに高くなり、花弁やヤシの実の硬さ、下に敷いてある布など3点の異なった対象を描き表すのが大変になります。今までの制作時間より多くの時間を掛けて3点それぞれの関係、特長をしっかり把握して描いていきます。頑張った作品となりました。

7点目の作品 鴨の剥製

必然性を把握し機能の美しさを感じとることが出来ます。生き物の構造とそれぞれの機能をしっかり観察することで、生き物の機能のこれをしっかりと描き表します。鉛筆の色の濃さ硬さや、練ゴムを使用してのぼかしや面の切れ等々、画材を色々と使い分けて、より表現力を向上させます。

8点目の作品 石膏像アバタのヴィーナス

これまで描いた中で習得した技術の集大成となります。石膏像の存在感がしっかり画面に描き出せるよう、時間を掛けて描いていきます。

参考作品制作会員さまご紹介

基本デッサンの実例として紹介した作品制作者の永山会員さまです。