メッツ絵画教室講師の安永です。いよいよ冬本番ですが、皆様いかがおすごしでしょうか。
メッツ絵画教室新宿校にて、特別授業『古典技法メタルポイントで布を描く』が行われました。
参考作品 ヤン ファンアイク作
メタルポイントとは、金属の細い棒の先をちょうど鉛筆の芯の先のように尖らせた筆記具です。
12、3世紀の頃から17世紀前半頃までが最盛期でファン・アイク、デューラー、レンブラントなどもメタルポイントによるデッサンを残しています。
鉛筆の前身である黒鉛が普及し始めると急速に廃れてしまいましたが、鉛筆にはない繊細で独特な風合いが再評価され近年注目を集めています。
時間が経つと金属が酸化し黒から独自の色調に変化していきます。
今回は主に銅線を使用しました。
銅線はカットし市販のシャーペンに入れて完成です。
銅以外では、アルミ、真鍮、銀、金などで描くことが可能です。
メタルポイントは普通の紙では金属粉が残らず描けません、ジェッソ等で下塗りし金属が削れる硬度の下地をつくる必要があります。
今回は特殊な下塗りがほどこされたメタルポイント用紙を使用しました。
百聞は一見にしかず、まずは試し書きして頂きました。
硬い普通の銅線で線が描けることに皆さん驚いていました。
今回は古典的な絵画モチーフである布を描きました。
布の皺の稜線の強弱、変化を読み取ることがポイントなります。
それでは制作開始です!
メタルポイントは基本的に消しゴムで消すことが出来ないので鉛筆の時以上の集中力を要します。
ただし、消せない、直せない事に怯えてしますと、先に進めなくなってしまいますので、
消せない事を覚悟でいつも通りのびのび描くように意識していきましょう。
メタルポイントは鋭利な筆致、つまりハッチング技法ですので縮こまらず勢いよく線を描いていくことが重要です。
それでは完成した会員さまの作品をご覧ください。
高橋会員さま
飯島会員さま
河西会員さま
森会員さま
佐野会員さま
山根会員さま
熊谷会員さま
熊倉会員さま
大澤会員さま
高嶋道子会員さま
高嶋章光会員さま
正味2時間程度の短い時間で初めて扱う描画材、戸惑う事もあったと思いますが、会員の皆様とても制作に集中され完成致しました。
完成した作品は一枚、一枚講評を行いました。
同じモチーフ、同じ画材で描きましたが、会員さまの個性が個々の作品に表れていました。
初めて使ったメタルポイントはいかがでしたでしょうか、鉛筆以上にもっと繊細に描きたい、そんな方にはピッタリの画材だと思います。
今後の制作にも是非役立てていただければ幸いです。