田中愛子会員の油絵作品



会員の皆様、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
木曜日、土曜日担当の講師阿部です。私が今年最初にご紹介します会員様作品は田中愛子会員様の油彩による静物作品です。まずはご覧ください。
 
 

 
 
静謐な空気感が写真でも伝わるかと思います。構図取りに気を配り、花の配置にこだわりを感じます。正面を向いている二つ、そっぽを向いている三つの花、それぞれに性格を感じさせ、葉、茎、蕾の配置にも神経を払っているのが伝わってきます。ただなんとなく配置するのと自然に見えるように配置するのとでは仕上がりに開きがあります。違和感なく自然に見せること、それがこの作品の構成にはあると思います。
 
またまず目を引くのは背景の鮮やかな緑色です。透明層を何層も積み重ねた色彩は色面に奥行きを感じさせます。そして白の表れ方がとても繊細です。ただの白の絵の具として表れているのではなく、花の白、台の白がそれぞれ緻密に描きこまれているので画面の中で浮かずに溶け込んでいます。
 
透明色を活かした水面と影の描きこみも綺麗ですね。暗色を濁色で潰さず、透明度を持って描かれているので鮮やかさを感じます。台に映ったハイライトも印象的です。
田中会員様は妥協せずに筆を進められる胆力がある方ですし、色づかいや構成に非凡さを感じます。次回作としてまた静物の制作を始めていますが、描き出しから完成が楽しみな状況になっています。これからが楽しみな田中会員様です。