メッツ絵画教室の小屋です。2008年8月26日のメッツブログ記事で「洲合会員の美しいヴィーナスのデッサン」をご紹介しましたが、今回、洲合会員は同モチーフを同構図で、油彩で挑戦されました。見事な出来栄えですので、ここでご紹介致します。「グリザイユ」とは、白黒およびグレーによる単色画の事です(カマイユ技法とよばれる白と褐色による単色画もあります)。一般的にはアンダーペインティングとして有彩色画の下層描きに用いられてきましたが、このように最後まで単色でデッサンのように描く油彩画も指していいます。確かなデッサン力があってこそ可能な表現ですね。
頭部の量感と明暗が、丁寧な白→明るいグレー→濃いグレー→黒へと移行する油彩絵具の色幅と艶のある表情で描写されています。
とても優しいお顔の表現です。絵具を何層にも重ねて厚みを出したので単色でも説得力のある描写になりました。あばた部分の凹みも上手く表現できました。鼻に青が入っているのも魅力的なアクセントになっています。目の回りの明暗も非常に細かいですね。
顎から首にかけての表現も絶妙ですね。キャンバスの目を上手く使って明暗の流れを自然に掴んでいます。首の円柱の量感も、堂々としています。
バックは、回りに少し明るいグレーを入れて画面全体のバランスを取りました。サインを朱色で入れて、唯一鮮やかな部分を作ったのも古典絵画的で素晴らしいですね。新年、とても充実した作品でスタートされた洲合会員です!