メッツ絵画教室新宿校で毎週、金曜日、土曜日を担当しています講師の越前谷です。
今回は入会以来三年、鉛筆デッサンに集中して取り組んでおられる、荒木香織会員様のデッサンを紹介します。
五位鷺(ゴイサギ)の剝製を描いたデッサンですが、とても完成度の高い作品です。描いた時間は、講習十二回分ほどでしょうか。十分な時間を掛けて、納得のいくまで描かれています。
鷺の顔の部分です。動き出しそうな鋭い生命感が感じられます。嘴の硬い質感、そして羽毛の柔らかい質感がしっかりと描き分けられて表現されています。このような表現は、鉛筆の硬さを上手く使い分けられるようになって、初めて出来上がって来ます。
これは鷺の足元と木製の台座の部分です。こちらも、生き物である鷺の足と、台座の木の質感が緻密に描き分けられています。
荒木会員様はいつもこの様に、モティーフの全てを(下に敷いた布や、そこに出来た影等も)少しも手を抜かずに描き出す所に特徴があります。鉛筆だけで様々な質感の物を描く、描ける、と言うことに興味を持たれていて、素晴らしい探求心と持続力が生み出す表現力ですね。
鉛筆デッサンは色彩の無い、モノクロームの表現ですが、表現力のあるデッサンは油彩、水彩にも決して劣らない、豊かさと力強さがあります。そのようなデッサンの魅力を、荒木様は良く理解されているようです。
荒木会員様がこの後描かれているのは金属製のポットです。これも描くのはとても難しいモティーフですが、新たなる挑戦で表現の幅をさらに広げられています。これから、風景などに挑戦されても、さらに表現が広がって面白いかも知れませんね。