皆様こんにちは。日曜日と水曜日を担当している講師の杉本です。
今回は、七里会員様の油絵をご紹介いたします。
紅白の椿を、細部までしっかりと観察し丁寧に描けています。枝葉の伸びやかな様子を捉えた、調和のとれた構図。そして、やきもの特有のざらざらした表情をもつ花生けの質感を表せています。油絵具は透明感を感じさせる薄塗りと、物質感を感じさせる厚塗りに長けており、両方の性質を効果的に扱えています。
また、桃色の布の陰影によって、背景がモチーフ全体を包み込む「空間」に仕上がっています。一般に、桃色を上品に使うことは難しいのですが、本作では「和」を演出する薄紅色としての機能を果たしています。
今後の改善点としては、枝の描写をより深めてほしいと思います。枝ぶりの伸びやかさは感じられるので、より立体的な描き込みを加えることで、更に良くなると思います。
七里会員様は、長い時間をかけて本作を描き上げられました。
次回作でも、表現を完成までじっくり煮詰めていただきたいと思います。
期待しております。