皆さま、こんにちは。水曜日、土曜日を担当しています講師の越前谷です。今回はH・T会員さまの油彩による模写の作品をご紹介します。
これは18世紀フランスで人気を博した女性画家、ヴィジェ=ルブランが描いた肖像画の模写です。ご覧のように非常に完成度の高い模写になりました。
前作ではやはり18世紀の画家、グルーズの人物画の模写をしましたが、それに比べると明らかに技術の進展が見られます。
特に人物の素肌の描写が前回に比べて、とても自然で綺麗な表現が出来たと思います。
これは素肌部分の滑らかな質感を出すために、アクリル系地塗り剤のジェッソを使って地塗りをし、キャンバスの布目を潰した効果が大きいと思います。
18世紀の作品は、古典的な油彩技法によって描かれています。
古典的な技法といっても時代や地域によって違いはありますが、近代以降の技術との大きな違いの一つとして、支持体(絵を描くためのキャンバスや板など)の地の作り方があると思います。
古典的な技法では、油彩の発色や質感を生かすために、下地を丁寧に作る場合が多いのです。
また、グレーズの技法(透明な絵の具の層を重ねて深みのある発色をさせる)がよく使われるのも、古典的技法の特徴です。
今回の作品ではこのような絵の具の使い方も、上手く出来ていると思います。
H・T会員さまはさらに高い完成度を目指して、続けてヴィジェ=ルブランの人物画の模写を制作の予定です。
この様に質の高い模写の作品は、他の会員の皆さまにも、大いに刺激になると思います。
細かい描写をするH・T会員さま。