こんにちは。木曜日午後・夜間担当講師の中田です。
今回は、自らの制作について、ご紹介させていただきます。
実は私は、美大の油画科に入学する前に、デジタルメディアを学ぶ大学(学士)を卒業しております。そして、この大学の美術サークルに体験に行ったのが、絵画との出会いでした。ここから紆余曲折を経て美大に入学するのですが、長くなってしまいますので、もしご興味あれば、ぜひ教室で。
このような経緯もあり、表現としてではありませんでしたが、プログラミングや3DCGなども、ひと通り学びました。ただ私の場合、デジタル技術を否定し、アナログ絵画に憧れて美大を目指したので、2016年くらいまでは、キャンバスに油彩で描く、伝統的な具象絵画にこだわり、突き詰めていました。その後、デジタル技術と絵画が自然と繋がり、現在の制作に至ります。
上の展示作品は、フォトグラメトリを利用した新たなリアリズムを提案するシリーズで、絵画、写真、ARで構成しています。以下作品コンセプトです。
フォトグラメトリを利用した、新たなリアリズムに挑戦した。此処で言うリアリズムとは、キュビスムによる多視点、アントニオ・ロペス(1936-)等に見られる多時間など、多層のレイヤーを1枚の絵画として圧縮するような表現を指す。制作工程としては、花瓶に生けた花を用意し、花が枯れるまで、定期的に様々な角度から撮影する。その写真を元にフォトグラメトリを行うことで、多視点、多時間性を持ったオブジェクトが生成される。最終的には、生成されたオブジェクトを3Dソフトで調整(オブジェクトは一度で作品のようには生成されない)する。また、この作品は油彩のためのモチーフにもなっている。
先端的な表現ではありますが、実はモチーフをよく理解して描くという、皆様が絵画教室で学ぶ基礎を踏まえています。私も最近になって、大学時代、たとえ時代遅れと思われても、対象をしっかりと描く修練を重ねていて良かったと感じました。