第8回 楽々展 「小屋賞受賞作品」のご紹介 その1




メッツ絵画教室の小屋です。「第8回 楽々展」にて、個別講師賞の「小屋賞」を受賞された丸山会員の油彩画(F20号)をご紹介します。大変見事な描写力と構成力で、魅力あふれる画面になりました。モチーフは籐椅子に青い布をかけて、そこに少年像と五位鷺の剥製、ベネツィアの仮面を乗せました。バックには背広とネクタイを配置するという凝ったモチーフです。仮面と背広・ネクタイは丸山会員が自分で用意された私物です。


メインの剥製ですが、このように大変緻密に描写されています。細密描写と言っても過言ではありません。キャンバスの目を生かして、自然な色彩を感じさせてくれます。後頭部の長い毛と、眼に緊張感があります。


少年像もとてもしっかり描かれています。立体感がよく出て、確かなデッサン力が感じられます。あどけない表情も魅力的ですね。像の輪郭なども丁寧に追っているので背景の空間としっくり馴染みます。頭髪に入ったアクセントの赤が効いてますね。


この仮面の額にはカナレットの風景画が描かれています。とても細かい品で、全体に入る亀裂もアンティーク感を出すためにわざと付けてあります。画像では少し分かりにくいですが、この仮面には多くのクリスタルな、ダイヤモンドカットのプラスチック部品が貼り付けられています。実物を見るとそこが立体的に強く輝いていて、展示の時は多くの会員さんが不思議に思われました。


背広とネクタイの描き込みも繊細です。まるで布地を編むように縦横に細いタッチが交差しています。ネクタイの柄は右のバックのストライプに反復されています。ハンガーの表情が単調になったのが惜しいところです。この画面の中でハンガーは意外と重要なポジションですので、気を抜かずに表現しましょう。


右上のバックですが細かい亀裂を描きました。仮面の亀裂に対応しています。サインも良い位置にありますね。


左のバックには背広の襟の形が現れます。ストライプも幅や角度を変えて再び現れます。しつこいくらい描いているのがこの絵の魅力です。フォービズムゼミを体験する事により色彩もかなり自由になりました。


籐椅子の部分です。明暗をきちんと押さえたので構造がしっかりしました。これなら少々重い人が座っても支えられるでしょう(笑)。この肘置きのバックは黒が有効ですね。今まで丸山会員が培ってきた実力を余すところ無く発揮した作品だと思います。

さて、その丸山会員から「第8回 楽々展」の感想を頂きましたのでここで掲載いたします。

「先生方、会員の皆様、先日は3日間の楽々展、お疲れ様でした!
年に1回の作品発表会ということで、毎年毎年会員の方それぞれの作品のレベルがグッと上がっていくのに驚かされます。
私も、今回は描き応えのあるモチーフをなんとかカタチにしたく、ギリギリまで制作した甲斐あってか、無事満足いく作品を展示することができて嬉しく思っています。更に『小屋賞』までいただくことができ、今後の制作の励みになりました。
普段お会いする事のない会員の方や、先生方の作品を観る機会はなかなかないので、『良い表現はどんどん盗もう!』という意気込みで拝見させていただきました(笑)
懇親会でも色々な方とお話でき、2時間はあっという間でした。話しかけて下さった皆様、ありがとうございました!
先生方や会員の方々からいただいたアドバイスを元に、今後も楽しんで絵を描いていきたいと思いますので、
皆様ご指導よろしくお願いします!」

丸山会員、素晴らしい感想をありがとうございました!これからのますますのご活躍を期待します!